・事情
相談者の父親が亡くなり、相談者が不動産を単独で相続しました。その建物は老朽化していたため、建替えをしたいのですが、弟さんが居住しており、相談者の話を聞いてもらえないため、出て行ってもらえない状況が続いていました。
そこで相談者は弟に出て行ってもらうために当事務所に相談に来られました。
・経過と結論
相談者は弟さんとの折り合いが悪く、訴訟も見据えた対応を希望されていました。しかし弁護士はまず弟さんに連絡を取り、こちらの希望等を伝えました。そうしたやり取りをする中で、弟さんの希望等を聞き取っていきました。弟さんとしては、すぐに出て行くとしてもお金がかかるし、相談者が全て相続したことが納得がいかないので、遺留分減殺請求を行うと言ってきました。
そこで弁護士は相談者に弟さんの希望や権利行使を伝え、相談者が妥協しうる点を探して行きました。その中で、こちらとしても、本来賃料相当の損害金を弟さんに請求できる事案だったため、こちらの権利行使について弟さんに説明しました。
この様な交渉を重ねった結果、明渡しまで数か月の猶予期間内に明渡してもらえるなら、こちらも損害金を請求しないという内容で、任意の和解を成立させることができました。
・今回の解決事例のポイント
今回の件では、もともと問題となった建物に弟さんが住んでいたにもかかわらず、相続時に相談者が一人で相続したこと、そして相談者と弟さんが不仲であったことが絡み合って、自分たちでは解決できない問題となっていました。
相談者は、訴訟にすることも辞さないというお考えでいましたが、訴訟にすると、より時間もかかりますし、お互いのわだかまりが強まる可能性があります。ですから、訴訟にするかどうかも、ケースに応じて判断すべきです。今回、弁護士としては、じっくりと話を聞くことで解決の糸口をつかみ、訴訟にまでしなくても解決することができました。