・事情
当事者関係は非常に複雑なものとなっています。
当方の相談者=X1とX2(相続人)
被相続人(お亡くなりになった方)=AとB(X1X2の両親)
他の相続人=Y1(Aの弟で、ABの養子)
Y2(Y1の妻でABの養子)
その他=C(他人の子供で、Y1とY2の養子)
つまり、相続人は、X1とX2、そしてY1とY2の4人です。
X1とX2は、ABの生前、なぜCを直接の養子にしないのか?など不自然に感じる点がありました。その後、Cは Y1Y2夫妻と仲たがいをし、CとY1Y2との間の養子縁組を解消(離縁)してしまいました。
その後、AとBが死亡して、相続が発生し、相続人間で遺産分割のための協議が重ねられました。しかし、その協議がうまくまとまることがなく、遂にはY1Y2がX1X2相手に遺産分割調停を申し立てきました。
困り果てたX1とX2は、当事務所に対応等を相談に来られました。
・経過と結論
弁護士がX1X2からお話を聞いてみると、Y1とY2は、Aの生前に贈与を受けていたのに、それを認めないとのことでした。そして、CがY1Y2と離縁した際に、なぜY1Y2もABと離縁しなかったのかということにも不信感を抱いていました。
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そこでまずは生前贈与があったことを明らかにするために、Aの銀行取引明細書を取得しました。さらには別の口座等へ送金している履歴も取得し、調査したところ、AからYらに対して、1500万円の生前贈与をしていることが判明しました。これをYらに付きつけ、特別受益として、みなし相続財産を増加させました(これにより、最終的な相続分が増えることに繋がります。)。
また、さらにAの通帳の履歴などの調査を進めると、Aが死亡した前後に使途がわからない出金があることを突き止め、Yらにその釈明を求めました。
加えて、養子縁組に経緯についても明らかにするように求めるために、審判に移行しました。そして養子の関係者に接触すると、縁組の解消に関して、Aが金銭を支出していることを突き止めました。
さらに審判において調査嘱託を行ったところ、調停の段階ではわからなかったAの遺産の存在が明らかになりました。
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以上の調査等を踏まえて、審判では増加したみなし相続財産を基準にして、X1X2の相続分を確保することができました。
・今回の解決事例のポイント
遺産分割事件において、一部の相続人の不信行為については、最後までその疑念などを払拭できないこと度々あります。そのため代理人においても誠実な対応が求められます。
またそれゆえに、遺産の隠匿、特別受益の存在などがうかがわれる事件においては、徹底して事実の究明を行う事が必要不可欠です。論より証拠とはよく言いますが、どの事実についても、裏付けがない主張は結局空砲に終わってしまいます。
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