・事情
問題となった土地は相談者(「Y」さんとします。)の先代(仮に「A」さんとします。)が40年以上前に売却した土地です。その土地には地下に農業取水用の土管が埋設しており、現在の所有者(「X」さんといます。)が売却以後ずっと隣の農家の方が、取水の開栓をおこなっていました。
ところがある日Yさんは、Xさんから次のような連絡を受けました。
①今度この土地を売却することになった。②そこでこの土地の下に埋まっている水道の土管を撤去する。③その費用55万円をYさんが支払って下さい。
Yさんは、そもそもこの土地の売買については知らなかった上に、40年以上も経過しているのに支払わなければならないのか、と困惑され、当事務所にご相談いただきました。
・経過と結論
まずこの土管については、Yさんの所有物となり、それがXが所有している本件土地を妨害していることは確かでした。そのためYさんが全く撤去費用を負担しなくてよいとはならず、費用負担自体は止むをえません。
ただ、本件の土地は40年も前に売買されたものであり、これまで一切請求はありませんでした。そこで弁護士が相手方と交渉したところ、YさんがXさんに15万円を支払うということで和解出来ました(40万円の減額)。
・今回の解決事例のポイント
今回は、先代が40年も昔に売却した土地であり、そこでどんな侵害をしていたのかを全く知らなかったという事案でした。
所有権が侵害されている場合の請求権については時効というものがなく(判例)、このように長期間経過後でも請求されてしまう可能性があります。ただ、弁護士が間に入ることで、お互いに納得いく妥当な和解ができることがありますので、このような突然の請求がなされても一度ご相談にきていただければと思います。
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