NO.26
依頼者:男性(55歳)
相談内容:貸金返還請求 強制執行事件
・事情
依頼者は知り合いの医師(相手方)にお金300万円を貸して公正証書(注1)を作成していました。その他にも100万円を貸していましたが公正証書にまではしていませんでした。しかし、相手方は依頼者が何度催促しても返金せず、困った依頼者は当事務所に相談に来られました。
・経過と結論
まず、当事務所の弁護士は公正証書になっていない貸金について訴訟をして判決を得ました。しかし、相手方は判決をとられても支払わなかったので、当事務所の弁護士が相手方の元に赴き返済の意思の有無、預金口座などについて聴取し返済の合意を取り付けました。 しかし、相手方は一向に返済期限を徒過しても支払わず、電話にも出なくなりました。弁護士はまず相手方の預金口座を判決及び公正証書(執行証書(注2))にて差し押さえましたが、相手方は他にも債権者に追われているらしく差押えは空ぶりとなりました。 やむを得ず相手方の診療報酬(国保及び社会保険)について差し押さえました。 これにより、貸金合計400万円及び遅延損害金、利息すべて満額を回収することができました。
・今回の解決事例のポイント
依頼者は貸金のうち大部分について自ら公正証書を持っていたので、強制執行可能だったのですが、相手方の立場も考慮してまずは交渉し、支払意思がないのでやむを得ず強制執行に至り、全額を回収しました。このように債務者が診療報酬や売掛金など財産が判明している場合には回収が確実となります。
【用語説明】
(注1)公正証書
法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。 公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。
(注2)執行証書(公正証書に執行認諾文言が賦されたもの)
判決と同一効力をもちこれをつかって債務者の財産を差押え等強制執行ができる。