NO.18
依頼者:女性1名
相談内容:遺産分割請求事件
・事情
相談者=X(相続人、Aの実子)
被相続人=A(XとYの父親)
他の相続人=Y(Aの実子),Z(Yの配偶者,Aの養子),B(Aの妻)
相続人は、X,Y,Z,B
Aの死亡直前にYの配偶者ZがAと養子縁組をしており,相続人がXYZBとなりました。
Aは預貯金と金物店店舗不動産を遺産として残して死亡しました。なお,自宅は死の数年前にBに贈与していました。
他家に嫁いだXは,Yに遺産分割を申し入れたが,Yは遺言があるとして100万円だけをXにあげるので納得しろと高圧的に主張されていました。
このようにXは相続放棄をするように迫られており,法律に従った相続をしたいとお考えになられたので,弊事務所にご相談に来られました。
・経過と結論
弁護士がご依頼を受け代理人に就任し調査したところ,遺言書が有効に存在していることが不明でした。
Yに対して遺言があるのであれば検認申立てをすべきと主張したところ,検認により確認できたのは日付が無い遺言としての要件を欠く遺言書でした。
そこで弁護士は,遺言が要件を欠き無効であると主張して遺産分割調停を申し立てました。
調停では相手方はXが婚姻時に結婚式や嫁入り費用を出しているなど特別受益を主張しましたが,そもそもこれらが特別受益には該当しないと主張。逆にBが贈与を受けていた自宅の特別受益性を認めさせました。
その結果,Xは遺産分割調停により当初予想していた自己の相続分以上の遺産(約600万円)を取得することができ,双方納得できる解決となりました。
※特別受益・・・相続人の1人に被相続人から特別の利益を受けていた場合に,そのまま遺産分割を行うと相続人間に不公平が生じます。それを是正するために,相続分の計算上特別の利益を考慮する制度です(民法903条)。
・今回の解決事例のポイント
遺言書があったとしても,自筆証書遺言の場合には民法の規定する要件を満たさなければ無効となります(960条)。現実には要件を充足していないことがあるので,不当に相続放棄などを求められた場合でも諦めずに弁護士に相談した方がよいといえます。
この例のように遺言が無効で遺産を取得できる場合は意外にあるものです。
また,今回とは異なるケースですが,遺言書が有効だったとしても不当に少ない相続分の指定がなされることがあります。そのような場合でも相続人は遺留分(1028条)があり,最低限の権利は認められていますので,ご相談に来られることをお勧めします。