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「相続」を「争族」にしないために

~最終回~

 

                             弁護士 黒田充宏

 

1.状況の変化に対する対策

(1)前回まで

  前回、前々回と相続にまつわる変化の一つとして、相続税の改正や国民意識の変化、そして判例変更の可能性についてお伝えしてきました。最終回は、こうした変化への対策の一部をお伝えします。

(2)対策=遺言書の作成

  これまでの相続と言えば、ご自身の両親やご先祖がしてきたとおりのやり方やその地域の風潮に合わせておけば良かったと言えます。しかし、これから起こりうる変化の状況次第では、従来通りの相続のやり方では、相続人の間にもめ事を引き起こしてしまい、せっかく残される家族のことを思って蓄えてきた財産がかえって仇となってしまうという悲しい結果になりかねません。そこで、その対策が必要だと思います。

  対策としては色々考えられるとは思います(例えば、生前贈与の上手な利用など)が、その一つとして、皆さんもご存じの「遺言書」の作成が有効です。最近は、遺言書を作成することが特別というわけではなくなってきていますが、それでも作成される方というのは、まだまだ少ないと思われます。

  さて、遺言書には、①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言という3種類(なお、これらは普通の方式です。これに加えて特別な方式の遺言(死亡の危急に迫った人や伝染病で隔離された人などの遺言もありますが、今回は割愛します。)があります。これら3種類には次のような違いがあります。

 

相続3.jpg

   

この中でお勧めするとすれば、②公正証書遺言です。遺言書は、無理やり書かせた等といって無効の主張されることがありますので、そうした紛争を未然に防ぐという意味(紛失・変造など)では安心です。確かに費用は掛かりますが(例えば1億円の相続の場合は公証役場の手数料は10万円前後の費用となると思います。)、安心料・保険料と考えていただければと思います。

(3)遺言書作成時における注意点

  法的な注意点は、先述したことに加えて、いろいろありますが、専門家にご相談いただければ大丈夫かと思います。むしろ、遺言書を作成されたことが無い方にとって重要なのが、その中身です。簡単にいえば、

 

        「誰に、どの財産を、どれだけ残すのか(渡すのか)」

 

  ということです。当たり前の事のようですが、これが法的な側面や税金面、相続人となる人の思考・ 

 属性などを考慮すると非常に難しい問題となります。そこで、まずは以下の順序で考えてみてください。

 ① 相続財産となりうるもの、相続人になる人を全て挙げてみる。
     
 ② 相続財産のそれぞれの価格を調べる。
     
   ③ 相続人の思考、相続人間の関係(良好なのか、仲たがいしているのかなど)、それぞれの資産状況(税金や分配方法によっては代償となる金銭を支払えるか等)などを考える。

   ④ 相続財産の配分を考えてみる。
 
   ⑤ ④の配分に基づき、相続税を支払う必要性や、遺留分を侵害している時は減殺請求がされた時にどこから支払うようにしてあげるのかについて計算してみる。

   ⑥ ⑤に基づき、再度分配を調整する。

   ⑦ 遺言書を作成する。

   文字にすると、数行程度のことなのですが、実は①~⑦までそれぞれに専門家が存在するくらい高度な調査や計算、法的判断等が必要とされることがあります。

  例えば、土地の評価額について考えてみると、 その所在地はもちろん、形状や利用制限など様々の要因によって同じ広さの土地でも全然価格が変わってしまいます(この計算を誤ると、後々相続人の間で紛争になりかねませんし、また税金も追加で納めないといけなくなる事態もありえます。)。

  もし、いずれかの時点で困ってしまわれた場合は、一度専門家に ご相談されることをお勧めします。

 

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